第一期・年間べすぽえ。作品
せかい
とてもとても遠いところから
君の訃報が届いた
時刻表を確認することもなく
僕は一番最初にやってきた列車に乗る
いったいどれだけ乗り継げば
君の場所に行けるんだろう
君の生きていた場所に
君の生きていけなかった場所に
かつて
「きみ」と「せかい」とが
同じ質量をもっていた時があった
どんなに列車を乗り継いでも
たどり着けないところがあると
僕らは知りたくなかった
作者:たもつ
作者サイト:こっそりと詩
受賞者コメント
この度は「年間べすぽえ。」をいただくこととなりました。
ネットで詩を書き始めて丁度三年になります。
思い起こせば十数年前、高校生の時にポエムを書いていた程度ですからまだまだ新人の域を脱していないと言えます。双方向性と即時性というのはネットの一番の利点だと考えています。
時として投稿した詩に対して厳しい指摘を受けることがあります。
しかしながら、双方向性と即時性によって受けた厳しい指摘に対してすらもその双方向性と即時性によって、僕らは甘えることが限りなく可能です。そのような状況に居心地の良さを感じる一方で、閉塞感を覚えることも多々あります。
自分もその閉塞感に息がつまりそうになっていましたが、外に出て空気を吸う術を知りませんでした。
そんなモチベーションを失いかけていたときにpoeniqueで始まった企画がこの「ぽえ。」でした。一見、双方向性がないように見えるこのシステムの中で、選者であるいとうさんは、真剣に投げた球を、真剣に受け止め、真剣に投げ返してきてくれました。
「ぽえ。」という企画はそんな無言のキャッチボールだと思ってます。
いとうさんは「橋渡し」といいます。
それならば、僕はその橋を渡って行こうと思います。
そして、その橋を渡ることができるのは「べすぽえ。」に選ばれた者だけではありません。それは一つの結果に過ぎません。
「ぽえ。」に参加した時点ですべての人が等しくその橋を渡ることができるはずです。最後になりますが、このような素晴らしい場を作ってくださったいとうさんに心より感謝を申しあげるとともに、僕の作品を読んで応援したくださった皆様、時として厳しいご指摘をしてくださった皆様に御礼申し上げます。
ありがとうございました。
総評
12回のうち「該当作なし」が5回。これは予想していたよりも少ない数字。投稿作品数は月に10篇前後。これは予想していたよりも多い。初回としてはまずまずだったと、主催及び選者としては考えている。
コーナーイメージとしては、詩誌の投稿欄に近い。
インターネットの中で何ができるのかを考えたときに、もちろん、ネットだからこそできることは大切だけれど、それだけでは、おそらく、この媒体は閉塞したままだと、いつも危惧している。
断言するが、インターネットは、それだけではどこにも開かれていない。それはもう、媒体の特性として避けられないものだ。
その現状の中で、上記の数字は上出来だと思う一方、たとえばそれこそ詩誌などに寄せられる投稿数と比較した場合、もっと、可能性のあるものだとも思っている(その点については、力不足を実感中)。
と同時に、選出基準に関しては、詩誌の投稿欄より厳しいという自負もある。第二次の選者は野村喜和夫氏。片手間でやってもらうつもりは毛頭ない。
氏にはそのまま、
「詩誌の投稿欄より厳しく、毎月該当者なしでもかまいません」と伝えてある。
そういう環境の中から出てくるものは、本物だと思っている。そしてネットの海の中に、本物がいないわけがない。
いつもそう思っている。
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